NHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン、松野トキのモデルとなった小泉セツさん。
小泉セツさんの生い立ちには、意外な真実が隠されていました。
今回は、小泉セツさんが養子だったという事実と、その背景に迫ります。
セツさんの人生は、明治時代の激動の中で、どのように形作られていったのでしょうか？
小泉セツの生い立ち – 名家の娘から養子へ
まず、小泉セツさんの誕生からみていきましょう。
小泉セツさんは、慶応4年（1868年）2月4日、島根県松江市に生まれました。
父の小泉湊さんは松江藩士、母のチエさんは松江藩家老職の塩見家の娘という、由緒正しい家柄の出身でした。
当時の松江は、城下町として栄え、武家の文化が色濃く残る地域でした。
「セツ」という名前は、「節分」に生まれたことから名付けられました。
しかし、セツさんの人生は生まれてわずか7日目に大きく変わります。
小泉セツさんは生後7日目に、松江市内中原町に住む稲垣金十郎さん・トミさん夫妻の養女として迎えられたのです。
この事実は、セツさんの人生に大きな影響を与えることになります。
養子縁組は当時の武家社会では珍しいことではありませんでしたが、セツさんの場合は特殊な事情がありました。
小泉セツの養子縁組の背景 – 両家の事情と時代背景
養子縁組の背景についてみていきましょう。
セツさんが養子に出された背景には、複雑な事情がありました。
両家の格差
小泉家は「上士」（三百石）の高級武士の家柄でしたが、稲垣家は「並士」（百石）の中級武士の家柄でした。
この身分の差は、当時の社会では大きな意味を持っていました。
子宝の有無
小泉家にはすでに多くの子供がいましたが、稲垣家には子供がいませんでした。
子供のいない家庭が養子を迎えるのは、家系を継ぐために重要な選択でした。
事前の取り決め
セツさんが生まれる前から、両家の間で「次に小泉家に子供が生まれたら、稲垣家の養子とする」という約束が交わされていました。
このような取り決めは、両家の関係を強化し、互いの利益を図る目的で行われることがありました。
時代背景
明治維新直後の混乱期で、多くの武家が没落の危機に直面していました。
養子縁組は、家系の存続や経済的な理由から選択されることもありました。
小泉セツの稲垣家での暮らし – 「オジョ」と呼ばれた幼少期
小泉セツさんの稲垣家での暮らしについてみていきましょう。
稲垣家に引き取られたセツさんは、特別な扱いを受けて育てられました。
「オジョ」と呼ばれる
稲垣家では、セツさんを「オジョ（お嬢）」と呼び、敬愛の念をもって育てました。
これは、セツさんが格式の高い家に生まれたことを重んじてのことでした。
この呼び方は、セツさんの特別な立場を示すとともに、セツさんの自尊心を育むことにもつながりました。
物語好きの子供
セツさんは幼い頃から物語を聞くのが大好きで、養母のトミさんから多くの民話や神話を聞かせてもらいました。
この経験が、後の小泉八雲さんとの出会いにつながる重要な素養となりました。
教育への熱意
セツさんは学業に熱心で、内中原小学校で優秀な成績を収めました。
しかし、稲垣家の経済的困窮により、上級学校への進学は叶いませんでした。
この挫折は、セツさんに大きな失望をもたらしましたが、同時にセツさんの向学心を一層強くしました。
家計を支える
11歳からは家計を助けるために、織子として働き始めました。
この早い段階での労働経験は、セツさんに責任感と勤勉さを植え付けることになりました。
まとめ
小泉セツさんの生い立ちは、明治時代の武家社会の変動を如実に反映しています。
名家に生まれながらも養子に出され、「オジョ」として大切に育てられた一方で、経済的困難にも直面しました。
この経験は、セツさんの人格形成に大きな影響を与え、後の人生における様々な困難を乗り越える力となりました。
この複雑な背景が、後の小泉八雲さんとの出会いや、セツさんの人生観形成に大きな影響を与えたことは間違いありません。
「ばけばけ」を通じて、セツさんの波乱に富んだ人生をより深く知ることができるでしょう。
セツさんの生涯は、明治時代の日本社会の変化と、一人の女性の強さを象徴する物語として、今なお多くの人々の心に響きます。
小泉セツさんの生涯を通じて、私たちは明治時代の社会変動、文化の継承、そして個人の成長と挑戦の物語を見ることができます。
「ばけばけ」は、このような豊かな背景を持つセツさんの人生を、現代に蘇らせる貴重な機会となるのではないでしょうか。
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